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立田山ボルダー

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「課題」について

 ボルダリングは自由な活動である。そして岩の面も誰のものでもない。というわけで、自由に各人が登り、その時ここをこんな風に登った、という自他への記録として「課題」が残されると思う。

 

 従って、このサイトの「課題」を参考にしてもしなくてもいいし、自分で新たに「課題」を作ってもいいと思う。

 日本のボルダリングの草分け的存在の一人、室井登喜男氏も次のように言っている。「ボルダリングにおける課題とは、ある遊び方のひとつを示すもので、それが唯一正しいコースといったものではない。だから、自分の好きなように課題を設定して遊ぶのも、ボルダリングの大きな魅力だ」と。けれどもそれに続けて、次のようにも述べている。「それでも、課題を登れば先人のボルダラーの足跡を知り、多くのボルダラーとひとつのものを共有できて、世界が広がっていく」(『Rock & Snow No.10』山と渓谷社、2000年12月、98頁)。

 一人でじっくりと、あるいは仲間と楽しく自由に登ればそれがボルダリングだと思う。ただ、以下のことは配慮いただけるとありがたい。

1、安全に気をつける。

2、周囲に配慮する。登山者を驚かせたり不快にしたりしない。

3、先人や次に登る人に配慮する。チッピングをしない。泥のあとやチョークのあとは掃除しておく。美しいと気持ちいいです。

4、イノシシに配慮する。頂上から北に3分ほど下った登山道で1m以上のイノシシに会いました(5月半ばの午前)。地元の大学生は豊国台公園横の山道でイノシシに襲われ軽傷負ったと言ってました(五月初め頃の夕方)。

開拓の経緯

 立田山には高さ1メートル以上の岩はほとんどない。2メートルを少し超える岩は南面中腹の豊国台公園にあるが、御神体が祀られているのでボルダリングの対象にはならない。山麓のクライミングジムのボルダー天国のオーナー飽本さんと、残念だよね、と話したこともあった。

 

 ところがある日、北面の中腹にもいくつか岩があることに気づいた。ただ、登山道から見る限り、これらも数十センチ止まりである。ある時、道を外れて斜面を回り込み下側から眺めると、メインの岩は2メートル少々あることがわかった。しかし、簡単に上部のカチガバに手が届き、八級くらいのムーブでトップアウトできるため、ボルダリングの課題が引けるような岩とも思えなかったので、そのままになっていた。貴重な休日の時間の使い道としては、日向神の開拓など、することも沢山あったからである。

 しかし、2020年の春は、新型コロナウイルス感染防止のために遠出の自粛が要請され、休日は日向神行きをやめて、歩いて数分の立田山散策に切り替えることにした。その時に思い出して、例の岩に触ってみることにした。高さこそないが、シットダウンスタート(SD)の課題にすれば、グレードも上がり、意外に奥が深く楽しめることがわかった。

 マルチピッチクライミングからショートルートが独自の道を歩み、さらにボルダリングが独立したように、SD課題も独自の要素を持っているかもしれない。たとえばノーハンドで登れるスラブでも、シットダウンスタートは極度に困難になったりするのである。机に普通に登ることはできても、シットダウンスタートで登ろうとしたら、結構なパワーとテクニックが要求される。

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「地上トレーニングの定番(?) テーブルクライミング。体幹に加えプッシュやマントリングをイメージして」

『ROCK & SNOW』 088号、山と渓谷社、2020年6月、p.15より

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立田山 北斜面 エリアC F岩の課題

 そこで、高さこそ低いながらも、さっそくいくつもの課題を引くことにした。九級から三級くらいまでの多数の課題を作るかたわら、他に目ぼしい岩がないか山中を探し回ったところ、北斜面の下の方にも低い岩がいくつか見つかったので、そこにもシットダウンスタートの課題を作成した。

 さらに、秋の森、西斜面、城見坂、そして乗越ヶ丘の各所に低い岩を発見し、課題の数はかなりにのぼっている。

 なお、岩自体が低く、下地も落ち葉の散り敷いた柔らかな土のため、初登時はマットではなく、ビニールのレジャーシートを使用している。

 また、人通りの多い登山道から見やすいところ、立田山山頂、秋の森、乗越ヶ丘、椋の木展望所などにいくつか課題のひけそうな岩があるが、登山者に配慮して、あるいはトラブルを避ける意味から、あえて課題を引かないことにした。

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